バンクシーの作品
Happy Choppers
2003 Screen print on Paper
70×50cm Private Collection
本作は2002年、バンクシーによる「Santa's Ghetto(サンタズ・ゲットー)」の展示の一環として、ロンドンのホワイトクロス・ストリート・マーケットに、ステンシル壁画として初めて登場した。その翌年に発表されたのが、このプリント作品だ。 絵本を思わせるパステルカラーと、見るからに恐ろし気でダークなモチーフの組み合わせが生み出す独特の緊張感に、バンクシーのメッセージが垣間見えるようだ。隊列を組んで迫り来る軍用ヘリコプターは、武装し、威嚇的。一方、その背後にはパウダーブルーの空が広がり、さらにヘリコプターの1機には、明るいピンクのリボンが結ばれている。「Choppers」とは、朝鮮戦争にさかのぼるアメリカ軍用ヘリコプターを皮肉ったあだ名で、二重の意味が込められている。一つは、ヘリコプターのブレードが周囲の空気を「chop(切り刻む)」する様子。もう一つは、ヘリコプターで輸送される兵士たちが地上にいる罪のない民間人にもたらす残忍な破壊行為だ。 本作は、アメリカをはじめとする国々が、いつだって占領国に「施し」を与えるつもりであるのに、現実は、はるかに冷酷な結果となることについてのバンクシーの冷笑的な批評と言えるだろう。
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