WHO IS BANKSY?

バンクシーの作品

Laugh Now

2003 Screen print on Paper
69.5×49.5cm Private Collection

もともと2002年に制作された本作は、バンクシーの作品としては珍しい。というのも、ストリートに登場したのではなく、ブライトンのモーリー・ストリートにあるナイトクラブ「Ocean Rooms(オーシャン・ルームズ)」の依頼で制作されたものだからだ。全長6mにおよぶステンシルの壁画で、バーカウンターの後ろの空間を埋めるために、サルのモチーフを10回繰り返し描いたものである。それから6年後、このナイトクラブは壁画を撤去し、50万ドル近い値段で売却した。 本作に描かれるのは、反抗的なメッセージ「Laugh Now, but one day we’ll be in charge(今は笑え。しかし、いつかは我々が勝つ)」を掲げる仏頂面のサル。バンクシーは、志を同じくする反逆的なアーティストたちと卑しいサルとを同一視している。どちらも、もっとデカいことをやってのける力を持っているのに、そのことに気づかない支配者たちに嘲り笑われる存在じゃないかと。サルが首から提げている看板の重みと、がっくりと落とした両肩、そして疲れ果てたような眼差し。それらが、サルにのしかかる抑圧の大きさを表している。ちなみに、サルは、ネズミと並んでバンクシーの作品に登場することの多いモチーフ。バンクシーは、このような動物たちに、社会風刺に満ちた自らのメッセージを託しているのだ。本作は、こうした作品の中でも特にメッセージ性が強く、これまで多く複製されている。

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